第四話 マントラ軍本営の愉快な仲間達


 ダンテと別れて数時間。俺と仲魔達はマントラ軍本営内で戦いに明け暮れていた。ダンテ戦で結構苦戦したからな。刃を研いで置かなければ、先の道行は厳しいものになると思ったのだ。
 ニヒロの悪魔は搦め手が得意だと聞く。そんな中で状態変化に弱い「カムド」に頼りきりになるのは避けたい状況だ。物理しか攻撃手段の無い俺的に力+5は非常に魅力なのだが……あんまり俺がネコマタに魅了されまくるので、仲魔が「勘弁してくれ」と訴えてきている。魔力に操られている間、俺の意識は無い。しかし大抵目が覚めると、五体満足で立っているのは自分一人なワケで……流石に言い訳できない。鬱だ。

 とりあえずカムドのスキルを全部引き出す事に成功する。仲魔の方も、モムノフに異変が起こり、アラハバキへと変化した。
 どんな厳つい悪魔になるのかと思ったら……土偶だ。巨大な土偶。即座に叩き割りたい衝動にかられ一発ぶん殴ってみる。が、びくともしない。成る程……物理無効か、こいつは頼もしい。アラハバキは文句言いたげに俺を見ているが、土偶の彼に表情なんて有って無いようなもんだ。気のせいだろう。肩を叩いて誤魔化しておく。

 かがり火が照らす本営玄関をうろついていると、気になる話を耳にする。人間のガキが地下の牢屋に囚われているそうだ。人間のガキ? もしや……

 それを聞くなり、俺たちはすぐさま地下1Fに向かった。



〜マントラ軍本営 B1F〜



 牢番のヌエに挨拶して、地下牢を見て回ったら目当ての牢は直ぐに見つかった。人間のガキというのはやはり勇だった。生きていたのか……安心はしたが、どういう生命力なんだろう。
 勇は俺を見つけるなり「ニヒロの祐子先生を助けてくれ!」と頼み込んできた。マントラ軍は近々ニヒロ機構に攻め込むので、ニヒロで氷川と組んでいる祐子先生が危ないという話だ。
 元々祐子先生を追うつもりでいたから別に構わないが、「俺には無理だからお前がやってくれ」ってのはどうなんだろう。ある意味、勇の方が全然たくましいと思うぞ。トールの一撃まともに食らってたよな? あれ、俺だったら体の半分吹き飛ぶんだが。いやほんと、良く生きてるなお前……

 まあ、この状況で自分の身より他人を案じてる勇は、イイヤツだと思う。俺が牢から出してやれるわけでもないし、素直に祐子先生を助けに行くことに決めた。

 これ以上勇に何かしてやれる事も無いので、挨拶もそこそこに、他の囚人からも情報を集めて回る。そうそうロクな話を聞けるワケではないが、一人の悪魔がこのフロアにお宝があると教えてくれた。
 お宝……いったいどんなものだろう。悪魔の基準は俺のソレと大分違うからな。千円札を2000万マッカで買えとか言われたときは目が点になったもんだ。価値はともかく、どんなのがお宝と言われているのか興味が湧く。俺は早速お宝のありかを目指すことにした。



 牢屋の最奥にあった宝物庫は、いかにも頑丈そうな扉で閉ざされていた。
 さて、どうしたものか。これを無理やり開けたりすれば、それなりに問題がありそうだ。宝物番とかが居れば当然戦闘になるだろう。
 ……しばし、思案する。いつも通りにマントラルールを解釈すると、例え番がいようと、倒してぶんどれば「力こそ法なり」の名の下にお咎めは逃れられるかもしれない。……いや、流石に都合が良すぎるか? でも、もしお縄になったとしたら、決闘裁判で無罪を勝ち取ればいいだけの話なんだよな。今の俺なら仲魔無しでもトールは撃破できるだろうし。なんて居心地がいいんだマントラ軍。

 問題無しと判断して、俺は扉に手をかけた。ん、随分重い扉だな。でも鍵はかかってない様だ。めいっぱい腕に力を込めたら、扉はあっさりと開いてしまった。……いいのか宝物庫。
 拍子抜けしながら中をうかがうと、宝箱がひとつ、ぽつんと浮いている。俺は近寄って、中身を確かめた。
 ──マガタマだ! 成る程、これは確かにお宝だ。見たところ、随分と活性の悪いマガタマの様だ。まだスキルを一つも引き出していないのに、どういうことだろう。丁度カムドの力を引き出し終えていたので、そのマガタマを早速飲み込んでみる。
 すると、そのマガタマ──ガイアから、凄まじい力が湧き出すのを感じた。何だこれ……カムドとは桁違いだ。大幅に身体が強化されるのだが、同時に、今の自分ではその力を引き出せそうにないのを実感する。これは、本来弱小悪魔が手に入れるような代物じゃないんだろう。とんでもないものを拾ってしまったな……

 スキルを引き出すのは厳しいかもしれないが、能力の底上げは即効性があっていい。これを装着していると腕力が極限まで増強されるみたいだ。使い道には事欠かないだろう。俺は予定通り、お宝を持って帰る事にした。
 さて、道草はこのくらいにしてゴズテンノウに会いに行かないとな。



〜マントラ軍本営 60F〜


 本営ビル60Fにやってきた。3Fあたりからエレベーターで一本だったので、殆ど苦労はしていない。直通エレベーター完備とは、マントラ軍の生活水準も侮れないものだ。流石の悪魔といえども、やはりこの高さの移動は不便なんだろうな。

 それにしても、何と言う眺めだろう。
 エレベーターを降りると、そこはビルの屋上部分だった。ごうごうと風が鳴り、内側にひしゃげたボルテクス界を見渡せる、荒涼とした光景。目の前には上りの階段がいくつも連なっており、これを上り切った先に、目指す盟主ゴズテンノウの居室がある。
 最上階を目指して歩を進めるが、これが中々恐ろしい。地上数100m吹きさらしの足場だというのに、手すりもなにもないのだから。ここはトウキョウ。東京のビルとは違って、人間が来ることを想定していないのだ。

 こんなところで戦闘にでもなったら溜まったもんじゃないな……とか思っていたら、きたきたきたきた。せわしなく翼をばたつかせる、魔獣バイブ・カハのお出ましだ。
 鳥型悪魔は出会い頭に羽ばたきで衝撃波を撒き散らしてくる。勘弁してくれ、落ちる、落ちるから!! 正直衝撃は苦手属性でもあるので、まともにやりあいたくない。ここは交渉で穏便に、あわよくば仲魔にスカウトしてしまおう。

鳥「うーん、力を吸わせてくれたら考えてあげる」

 力? ああ、体力を少し持っていかれるくらいか。よしわかった、どんどん吸ってくれ。

鳥「微妙ー」「……もっと吸わせて!」「まだ足りない!」 

 ……うぐっ、新宿衛生病院の雑魚と違って、吸い取る量が半端じゃない……気がつくと瀕死。

鳥「やっぱマッカちょーだい!」「足りないって」「もっともっと!!!!」

 カラスじゃあるまいし、そんなに金目のものを欲しがってどうするんだ。くれてはやるけど。
 ……おっと、鳥の機嫌が見る見る良くなっていく。そうか、そんなに喜んでもらえて嬉しいぞ。ついでに仲魔になってくれるともっと嬉しいな。

鳥「ごめーん、やっぱ気乗りしないからやめとくねー。バイバーイ」

 な、なんだってー! 与えた金は大した額じゃないが、ほんの一瞬前までノリノリだったじゃないか。理由もなくオサラバだなんて……が、そんな心の嘆きが伝わるでもなく、バイブ・カハはあっさり去っていった。もてあそばれた俺の純情。鬱だ。

 気落ちしてゴズテンノウの間に向かう俺。すると、突如背後から声がかけられた。

鳥B「ねえ、ちょっとそこのアンタ、宝玉持ってない!?」

 ……別のバイブ・カハだ。アイテムをよこせと言っている。口調から察するに割と切迫した様子だ。そういえば前に似たようなパターンで声かけられたときは、スカウトに成功したな。
 先ほどのバイブ・カハにふられた寂しさもあり、俺は快く宝玉を進呈した。

鳥B「ありがと、助かったわ。お礼にこれあげるね!!」

 鳥は俺に何かを投げてよこすと、一目散に飛び去った。ああ、また仲魔にできなかった。でもお礼をくれたからいいか。でも一体なんだろう? 手を開いて受け取ったものを確認する。

 つ[魔石]



 ……鬱だ氏のう。(続く)




<プレイヤーのつぶやき>
 マントラ軍本営、雑魚戦で全滅すること数回。原因は全部ネコマタのマリンカリンですorz 戦闘でHP削れてると、主人公のパンチ一撃でお仲魔昇天ですからね。マジで侮れませんよ、ネコマタ。いい加減カムドやめろって感じですね。幸い、
偶然にも力が25を軽く超えていたのでガイアが手に入りました。こちらも弱点にかなり癖がありますけど、力と体力+10はデカイ! 夢のぱわーカンスト達成です! 喜び勇んで装着したまま60F行ったら、バイブ・カハにさっそく殺されかけましたけどね!(ノ∀`)

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